第48回衆院選は22日、投開票され、自民党は単独で261議席の絶対安定多数を確保した。自公連立政権は継続される。約5年続く安倍政権で、安倍晋三首相(63)の続投に、有権者は「イエス」を下した。首相は、来年9月の党総裁3選に弾みをつけた。改憲勢力で衆院3分の2(310議席)も確実になったが、首相は謙虚な姿勢を貫いた。一方、希望の党は、小池百合子代表(65=東京都知事)の「排除」発言で勢いを失い、おひざ元の東京で1勝22敗の惨敗。政権批判票の受け皿となる野党共闘の分裂も誘発。自民圧勝を助ける皮肉な結果を招いた。

 希望の惨敗を受け、東京から約1万キロ離れたパリにいる小池氏は「都知事選で完勝、都議選でも完勝したが今回は完敗だ。私自身も、おごりがあったと反省したい」と率直に敗戦の弁を述べた。

 解散前、小池氏が代表に就任し「台風の目」とされ、一部メディアでは100議席をうかがう当落予想もあった。衆院定数の過半数(233議席)を上回る235人を擁立し、政権奪取にまで言及した。

 しかし、民進党との合流を巡り、リベラル派を「排除いたします」と発言したことで批判が集中し、大失速。公示前の57議席維持も厳しい情勢となった。「排除発言」について小池氏は「私の言動で不快な思いを抱かせてしまい、厳しい結果につながった」と神妙に語った。民進合流組の当選者が多く、今後、民進出身者の発言力が強まるとの見方もある。

 公示前、安保政策や憲法観を「踏み絵」にしたことで、リベラル議員による立憲民主党結成や、民進実力者の無所属での立候補を招いた。立憲幹部は「安倍1強政治を止めるため、小異を捨てて大同につくという発想だったのに排除とは、政権交代目指していない」と批判。与党有利の構図をつくった責任論は根強い。

 小池氏の手法に各地の希望選対関係者から怒りの声が上がった。「排除の論理」で野党乱立を招き「結果的にバラバラにした。小池さんの個利個略でもてあそんだも同然だ」。

 ある選対幹部は、出馬締め切りの公示日午後5時まで、小池氏の出馬を期待した。「出馬もしない、首班指名候補も挙げない。本気で政権交代を目指してるのか?」。結局、都知事という大権力から身を投げ出すことなく挑んだ選挙戦に「命を懸けて」臨んだ候補者たちは、温度差を感じずにはいられなかった。

 惨敗は、都政における小池氏の求心力低下につながるとの指摘もある。小池氏が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」と協力関係にある公明党は国政関与をしないよう求めていたが、それをほごにした。都民ファを離党した音喜多駿都議は「公明党もこれまでとは違い、いろんな条件闘争を仕掛けていくだろう」と分析した。

 他の都議会関係者は「惨敗により、今までのような強引な都政運営はできなくなる。政治生命に関わる敗北。レームダック(死に体)状況にもなりかねない」と話した。【三須一紀】