不倫問題や失言、問題行動が批判され、「魔の2回生」と呼ばれた自民党の12年当選組が、軒並み厳しい戦いを余儀なくされた。「ゲス不倫」で逆風にさらされた金子恵美氏(39=新潟4区)と、同僚との「路チュー」が報じられた中川郁子氏(58=北海道11区)は、ともに小選挙区で敗北し、比例復活もできずに落選した。被災地視察で「おんぶ」された務台俊介氏(61=長野2区)も小選挙区で敗北した。一方「このハゲ~!」発言で離党し、無所属で出馬した豊田真由子氏(43=埼玉4区)は、早々に落選した。

 金子氏は、12年、14年に続いて3度目の「女性対決」となった菊田氏との激突を制することができなかったばかりか、比例復活も阻まれた。

 12年、14年はいずれも金子氏が小選挙区で勝利。しかし昨年、夫の宮崎謙介氏が自身の妊娠中に「ゲス不倫」を報じられ、議員辞職に追い込まれ、金子氏への逆風も強まった。また今年は、金子氏が公用車で長男を保育所に送り迎えしていたことを報じられ、批判を浴び、ママ議員のあり方も議論の対象になった。

 選挙戦は、金子、菊田両氏が批判合戦も交えた大激戦。民進党を離れて無所属となり、小選挙区敗北なら落選という退路を断った菊田氏が、女の意地で6選を果たした。金子氏は、昨年辞職した夫と同様、永田町を去ることになる。

 一方、北海道11区では、夫の地盤を継いだ中川郁子氏が、石川香織氏との一騎打ちに敗れ、こちらも比例復活できなかった。中川氏と石川氏は、ともに聖心女大OG。かつてこの選挙区で相対した故中川昭一元財務相と、知裕元衆院議員(44)の妻同士。昭一氏は09年の衆院選で知裕氏に敗れた後、56歳の若さで急死。郁子氏は、「弔い選挙」の12年衆院選で知裕氏を下し、2人は因縁の関係だった。

 中川氏は、小選挙区敗北後、事務所で「申し訳なかったです」と、陳謝。15年、同僚の門博文氏(和歌山1区)との「路チュー」を報じられたダメージも響いた。門氏も小選挙区で敗れ、比例で復活した。

 一方、石川氏は知裕氏とともに2人の子供を抱いて事務所入りし、大歓声を浴びた。14年に政治資金規正法違反で有罪が確定した知裕氏は、今月下旬まで公民権停止中。出馬が急きょ決まった石川氏は「時間のない中で支援してくれた方々に感謝したい」と話した。