安倍晋三首相は11月30日の参院予算委員会で、森友学園の国有地売却問題に関し、会計検査院から約8億円の値引きの根拠などが不適切と指摘されたことを受け、行政の最高責任者として謝罪を求められたが、応じなかった。共産党の辰巳孝太郎氏に「最低限、国民には謝罪すべきだ」と問われ、「さまざまな指摘は真摯(しんし)に受け止める」としながらも「次の予算編成などに生かすことが私の責任だ」と述べ、最後まで自身の責任は認めなかった。

 一方、財務省の太田充理財局長は、国有地を売却した財務省近畿財務局が過去5年で9件、国有財産を売却する際に必要な「評価調書」を作成しなかったとして謝罪。内規違反として、今後、審査能力強化を目指すとしたが、行政文書のずさんな扱いが表面化した。

 衆参で2日ずつ行われたモリカケ審議は終了。学園と近畿財務局側のやりとりとされる2種の音声データの存在を財務省が認めたものの真相解明には至らず、政府の答弁もあいまい。首相が約束した「丁寧な説明」とは、ほど遠かった。特別国会は今月9日で閉会のため、野党は来年1月召集の通常国会でも、引き続きモリカケ問題を追及する。