安倍晋三首相は13日、将棋界史上初の「永世7冠」を達成した羽生善治(47)と、囲碁で初めて7冠独占を2度果たした井山裕太(28)に、国民栄誉賞を授与するため、検討を始めるよう指示した。実現すれば、将棋界、囲碁界初の快挙。いずれも前人未到の偉業が高く評価された。授与式は、年明けの予定だ。

 井山はこの日夜、急きょ会見を行った。都内のホテルで行われた自身の第42期名人就位式と7冠再制覇祝賀会を終えると、同じホテルの別会場に移動してきた。国民栄誉賞について「驚いている。これまで受賞したのはすごい人ばかり。信じられないという気持ち。長い歴史の中で今までなかった囲碁界にとっても名誉なこと」と話した。

 羽生と同時受賞が検討されている。囲碁を始めたころ、羽生はすでにタイトル保持者として棋界のトップに立っていた。「羽生先生は特別。神様のような偉大な存在。積み重ねたタイトルの数、年月、次元が違う。40代後半になってもトップ棋士としていいパフォーマンスを続けていくという点で、大きな目標」と敬意を表した。

 野球が大好きで、小さいころから「世界でも活躍しているイチローのようになりたい」と憧れていた。座右の銘は、イチローの「小さいことを積み重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道」という言葉。本来は右利きだが、囲碁の時だけ左手で碁石を打つことも、右投げ左打ちのイチローと似ている。そんな井山にとって、国民栄誉賞といえば、その第1号となったプロ野球の王貞治氏だという。