将棋の第30期竜王戦を制し、同時に「永世7冠」の称号も得た羽生善治竜王(47)の就位式が16日、都内のホテルで行われた。国民栄誉賞決定後、初の公式セレモニーへの登場となった。就位式の前には、竜王戦のランキング戦(予選)6組で優勝した史上最年少プロ、藤井聡太四段(15)とそろって会見。両者は2月17日に行われる第11回朝日杯オープン戦の準決勝で公式戦初対決するが、羽生は「手ごわい存在」と早くも警戒していた。

 藤井にとってこの日はプロ入り後初の表彰の場だった。第30期竜王戦は16年12月のデビュー戦で加藤一二三・九段(引退)と対戦した。29連勝の連勝新記録も、初黒星も、この棋戦だった。会見では「あこがれの存在」と評する羽生とは顔を合わせず、じっと前だけを見つめていた。「少しでも上を目指せるよう、1局1局全力で頑張りたい」と、今年の抱負をまず述べた。

 羽生との公式戦初対決に話が及ぶと「少しでも近づけるよう、成長を見せることができれば」と、決意を新たにしていた。昨年の非公式戦で勝った時から、プロとして明らかに実力はアップしている。将棋界全体が認めていることだ。

 就位式では約650人もの来場者を前に、ランキング戦6組優勝者としてスピーチもした。「(竜王戦に)初参加で初優勝できて自信になりました。羽生先生と対局の機会をもらえるだけでもうれしく思っています。勝負の上では対等と思っています。全力で戦います」と、負けず嫌いな性格そのままに力強く言い切った。