だますつもりは毛頭ありませんでした-。振り袖販売・レンタル業者「はれのひ」(横浜市)が突然営業を取りやめた問題で、8日の成人式以来姿を見せていなかった篠崎洋一郎社長(55)が26日、横浜市内で会見し、客や取引業者に謝罪した。はれのひは同日、破産手続きに入り、同社の破産申し立て代理人弁護士は負債総額を6億3500万~10億円以上と説明。会社に資産はなく、債権者への負債の支払いは難しいとした。篠崎氏には海外逃亡情報も浮上していたが、神奈川県内にいたと否定。詐欺の意図も否定した。

 はれのひが突然、営業を取りやめた8日から18日。まったく説明もせず、姿も見せなかった篠崎社長が初めて会見を行った。紺色のスーツに水色のネクタイ姿で現れた篠崎氏は、はれのひの代理人弁護士による負債総額などの説明の後、ようやく口を開いた。手元の紙に目を落とし「お客様、取引先のみなさまにご迷惑、ご心配をお掛けし申し訳ありませんでした」と読み上げ、頭を下げた。

 8日に、横浜店と八王子店を開けなかった経緯について「ギリギリまで交渉していた」と繰り返した。横浜店については、昨年12月中旬にはホテルの会場費が支払えない状況になっていたという。後払いの交渉を続けたが「人が流出し、開けられなかった」。八王子店については「7日につくば店でヘアメークの遅れが出たのがツイッターで拡散し、八王子のヘアメーク業者さんたちの元締めから『何かあったら責任がとれない』という結論になり、できなくなった」とした。

 銀行からの融資は、最終的には12月20日に断られたという。8日の営業取りやめが決定的になったのは「横浜店は7日午後5~6時、八王子店は午後8時ごろ」と説明。客に連絡しない判断は誰が何時にしたのかとの質問に、篠崎氏は「横浜店は人がおらず、八王子店は人数が少なかった。連絡しないというより、できなかった」と釈明した。

 はれのひは16年9月期の売り上げを4億8000万と公表していたが、実際は3億8000万円だったことや、資本金150万円のところ1000万円と表示していたことが明らかになっている。偽装ではないかとの質問に、篠崎氏は「ホームページの製作会社の記載ミス」「資本金は1000万円にする予定だったのを先に載せていた。チェックミス」とした。

 負債の総額は6億3500万円から10億円以上。支払いは「難しいと思う」とした。昨年11月に、虚偽の決算書類で銀行から融資させたとして、詐欺容疑で警視庁に逮捕された旅行会社「てるみくらぶ」の社長と同様の疑いがないかとの質問には、「ありません」と否定した。【清水優】