東京電力福島第1原発事故の被災地も、平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)フィギュアスケート男子の羽生結弦(23)の金メダルに元気をもらった。連覇から一夜明けた18日、福島県いわき市在住の遠藤義之さん(45)が日刊スポーツに連絡。「結弦くんの頑張りに泣き崩れた。ありがとうと伝えてほしい」と訴えた。昨年4月、一部を除いて避難指示が解除された富岡町から避難中。原発から約7キロにある自宅は、放射線量が高い帰還困難区域にあり、震災後7年の今も戻れない。

 羽生はソチオリンピック(五輪)の翌15年6月、原発事故の現状を見に、同市や広野町を訪れた。除染廃棄物を入れた黒いフレコンバッグが大量に置かれた現場、津波被災地域を見て回った。遠藤さんは語り部活動をしている関係で、羽生に同行。その時を「彼も被災地仙台出身。何か『被災地のために』という思いが強く、いろんなものを背負いすぎている印象だった」と振り返った。

 その夏、羽生から都内のアイスショーに招かれた。震災後、妻子は都内で暮らし、半年に1度しか会えないため、久々の家族だんらん。演技後、羽生から「遠藤さん、待っていてください。写真を一緒に撮りましょう」と言われた。

 今回の羽生の金メダルに「本当に勇気づけられた。未来への力になった」と感謝した。【三須一紀】