17日にわたって開催された平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)には、お隣の国だけあって多くの日本人も観戦に訪れた。14年ロシア・ソチ五輪でも観戦ツアーを催行したJTB広報部によると「今回は4年前の約4倍に増えた」という。

 ビザが必要な上、遠距離で価格も高かったソチに比べ、平昌は比較的安価で近距離。羽田~ソウルなら約2時間半で行ける手軽さも受けた。「もう1つは、2年後の東京五輪を控え、視察を兼ねた法人需要も伸びた」(JTB広報部)。

 韓国では五輪開催のためインフラを整備。今年1月25日、仁川空港~江陵間(ソウル経由)を約2時間で移動できる高速鉄道を開通させた。会場間の移動については「不便だ」との声も聞かれたが、それでも厳寒の中で繰り広げられる熱い勝負を見たいと、多くの日本人客が訪れた。

 韓国観光公社東京支社によると、昨年の日本からの訪韓者は約231万人。韓流ブームなどで約351万人を記録した12年からは3割超の減少だ。円安や政治問題などの影響もあるが、そんな中で開催された地元五輪を契機に、客足の復活を期待する韓国観光関係者は多い。

 これまで訪韓客の約7割がソウル、約2割がプサンという偏りも見られたが、同支社の全壮鎬(ジョン・ジャンホ)次長(48)は「長い目で見て、新しい目的地として、平昌や江陵への観光客を誘致したい」。韓国を訪れる国別シェアで、依然として日本は約20%を占めており「(男子フィギュア)羽生連覇の聖地など、今五輪で新たに作られたレジェンドを生かして売り込んでいきたい」と鼻息荒く、話した。【赤塚辰浩】

 ◆韓国の観光客 日本からの訪韓者は12年の約351万人をピークに15年には約183万人まで減少。その後、増加に転じている。一方、中国は16年に806万人超の訪韓者がいたが、17年は約417万人に激減した。昨年3月、韓国政府が朝鮮半島有事に備えて在韓米軍基地にTHAAD(高高度防衛ミサイル)を配備。反発した中国が、韓国へのツアー旅行商品の販売を中止するなどした影響とみられる。