東日本大震災の発生から、今日11日で7年。津波で甚大な被害を受けた岩手県釜石市では、来年9月開幕のラグビーワールドカップ(W杯)に向けた準備が続く。同市は東北の被災地で唯一の開催都市で、予選ラウンド2試合が行われる「釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアム」が7月末に完成する。北の「ラグビーのまち」は、希望と課題を抱えながら復興の歩みを加速させる。

 ラグビーの釜石シーウェイブス(SW)ジュニアチームでコーチを務める土橋照好さん(46)も来年のW杯を心待ちにする。「子どもたちには貴重な体験。すごいプレーを見るのも大切だが、世界中の人との触れ合いを大事にしてほしい」と話した。

 震災時は家族で暮らしていたアパートの1階部分が全壊。自宅は2階で全員無事だったが、長男一陽(かずはる)君(12)次男遼治君(10)は遊び場所を失った。

 そんな時、SWのコーチに声を掛けられたことがきっかけで、一家のラグビー生活がスタートした。熱中する兄弟を見守るうち、初心者だった土橋さんも14年からはチームのコーチに。震災直後に生まれた小学1年の長女ひかりさんも、今では楕円(だえん)球を追うラガーガールだ。

 来年9月25日に行われるフィジー-ウルグアイの試合には、市内の小中学生約2300人が招待される予定。土橋さんは「何かを感じるキッカケにしてほしい。私も何とかチケットを入手したいですね」と笑った。