北朝鮮は20日、平壌で朝鮮労働党の中央委員会総会を開き、核兵器開発が実現したとして、21日から核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を中止、「北部の核実験場を廃棄する」と決定した。朝鮮中央通信が21日、伝えた。

<辺真一氏の目>

 今回の「中長距離や大陸間弾道弾」の試射中止や「北部核実験場の廃棄」の言及は、南北首脳会談、米朝首脳会談を前に“それなりの誠意”を示したということだろう。

 北朝鮮が要求する「体制の保障」は、平和協定や国交正常化、経済協力といった軍事的保障と経済的保障が2本柱。保障がなければ、核兵器を手放さないという姿勢は変わらないだろう。

 「北部実験場の廃棄」との表現もポイントだ。北部実験場の豊渓里(プンゲリ)では6回の核実験を行っており、7回目をやれば山が崩壊するといわれている。「北部」と限定した上で交渉のために廃棄するとしても、実は痛くもかゆくもない。北朝鮮の言う「ICBM」は、米西海岸に届くとされる火星12号と、東海岸に届くとされる火星15号だ。北朝鮮は、国際社会が弾道ミサイルと見ているテポドンを「人工衛星」としており、今回の宣言には含まれていない。東倉里(トンチャンリ)の「西海衛星発射場」など、発射場の廃棄には言及していないし、保有核兵器の廃棄にも言及していない。

 北朝鮮は今月実施された米国のシリア攻撃について「やはり核を持っていないからやられた。最後まで手放せない」と考えたか、「早く手放さないとやられる」と考えたか。おそらく前者だ。あくまで対等な交渉を求める姿勢に変わりはないだろう。(コリア・レポート編集長)