東京都の築地再開発検討会議の最終会合(7回目)が21日、都庁で行われ、小池百合子知事に報告書が提出された。小池氏が昨年6月、「食のテーマパーク」機能を有する場へ再開発する基本方針を表明したが、不利益を被るとして反発する豊洲市場の観光拠点「千客万来施設」の事業者を考慮し、「食のテーマパーク」は明示されなかった。

 近藤誠一座長(元文化庁長官)は「(築地再開発と)有機的につながり、豊洲、千客万来との関係においても両者を生かすようにしてほしい」と千客万来施設の事業者に配慮する一方で、「日本人の食生活、食習慣の根幹を成しているのが築地。せっかくの『食ブランド』を生かしてほしいので、大枠を示すことにとどめた」との本音も漏れた。

 小池氏の基本方針では、「築地ブランドの核は仲卸を中心とした食材の『目利きの技』」「日本で唯一、市場がブランドになった稀有(けう)な存在」とも示し、一部の仲卸業者が市場機能の存続を期待したが、それも報告書には示されなかった。受け取った小池氏は「築地のポテンシャルを生かして魅力と価値を高めることが目標だった。鳥の目の大きな視点で取りまとめられた」と評価した。