加計学園の渡辺良人事務局長は31日、愛媛県庁を訪れ、獣医学部新設をめぐり安倍晋三首相が15年2月に加計孝太郎理事長と面会したとする「新・愛媛文書」の記載内容について、面会はなかったと主張し、「多大な迷惑を掛け、申し訳ない」と謝罪した。県の担当者は「県に誤った情報を伝えていたのは非常に重大」と、経緯の説明を要求。中村時広知事は出張先の台湾で、謝罪が「遅いと思う」と不快感をにじませた。

 一方、渡辺氏は面会後の取材に「獣医学部を何とか形にしたくて、私が(面会したと)言ったのだと思う。その時、ふと思ったことを言った」と自身の言葉だと主張。「個人の判断で理事長の指示ではない」と、加計氏とは無関係と強調。加計氏に「勇み足で不適切な報告をした」と謝罪し、「紛らわしいことを言うもんじゃない」と叱責(しっせき)されたと明かした。

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 渡辺氏の一方的な主張であり、首相と加計氏との面会が虚偽だとする証明にはならない。立憲民主党の枝野幸男代表は会見で、「渡辺氏はヘラヘラ笑いながら(取材に)答えていた。あの対応を見る限り、『うそをついた』と言っていること自体がうそだと思う」と指摘。「もし本当にうそを伝えたなら、常識的に解雇でもおかしくない。総理からも『けしからん』という発信がなければならない」とも指摘。首相の抗議や加計氏による解雇処分などがない現状を踏まえると、「渡辺氏の言い訳はうそだ」との認識を訴えた。