千葉県松戸市のベトナム国籍の小学3年生レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9)が殺害された事件でわいせつ目的略取・誘拐、強制わいせつ致死、殺人、死体遺棄の罪に問われた渋谷恭正被告(47)の裁判員裁判第4回公判が7日、千葉地裁(野原俊郎裁判長)で開かれ、DNA採取や鑑定に携わった県警の鑑識課捜査員と科学捜査研究所研究員が証人出廷した。

 弁護側は初公判で警察による証拠捏造(ねつぞう)の可能性に言及し、無罪を主張しており、DNA鑑定の信頼性が公判の大きな争点になっている。

 遺体で発見されたリンさんの両手や、リンさんと同じDNA型の血痕が検出された軽自動車からDNA採取を行った捜査員は、証拠物へのDNAの意図的混入は「ありません」と証言。研究員も意図的混入を否定し、鑑定時に自身のDNAが混入するなどして証拠品が汚染された可能性の有無についても「ありません」と答えた。

 連日捜査員が出廷し、DNA採取に使う器具をどのように使用したかや、鑑定に出すまでにどう保管して、どう運搬したかが、細部にわたって審理されている。専門の器具が使用されるだけに、開廷直後には渋谷被告が実際に使用されるDNA採取用の器具などを目視で確認。透明な袋に入った器具を「見えないんで近づけて」と求め、顔から10~20センチの近さで観察した。

 弁護側は、採取器具の1つが使用後にカバーをしても開口部があり、異物混入の危険があるのではないかと質問。捜査員は「採取後ただちに袋に入れるため危険は低い」としたが、弁護側は「(袋に入れるまで)時間がかかると危険は高まるか」と質問。裁判長が「仮定の質問だ」と制した。

 前日までの第2、3回公判でも鑑識課捜査員ら7人が証人として出廷し、意図的な混入はないと証言。この日の2人を含め、DNA採取、鑑定に携わった捜査関係者計9人が捏造を否定している。