最大震度6弱を観測した大阪北部地震で大きな被害が出た大阪府高槻市の飲食店には19日、会社帰りのサポーターらが駆けつけ、サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会1次リーグ、日本-コロンビア戦に声援を送った。

 阪急電鉄「高槻市駅」の近くにあるカフェバー「K,S ALVAMAR」の店外には日本代表の大きな旗は張り出されている。この日、集まったサポーターはほとんどが高槻市在住。試合が始まると、テレビ画面に声援を送った。前半6分、MF香川真司の先制点には大興奮。同点に追いつかれると「ここからや!」と声を張り上げた。

 高槻市内のアルバイト加藤諒さん(21)は友人と来店。高槻市内の自宅は大きな被害はなかったが、アルバイト先の飲食店は棚から食器が落ち、休業した。この日はやっと店内の片付けが終わり、一息つけた。「きょうだけは特別です。みんなで日本代表を応援したかった」と話した。

 地元の幼なじみと来た自営業の寺田和弥さん(24)は試合中は友人と肩を組み、一喜一憂した。初戦勝利に「神様のプレゼントです」としみじみと話した。自宅のガスは止まったままだ。ここ数日、高槻市内のスーパーで食料の調達に忙しい。

 「おにぎりなどのご飯類がまったくない。きょうも何件も回った」。余震が続き、先行きの見えない不安もある。「苦しいことはいっぱいある。でも、日本の勝利で元気をもらった気がする」と胸を張った。

 高槻市内ではガスが復旧せず、休業する店も多い。同店を経営する光田勝彦さん(49)は「ガスこんろで代用しています。限られたメニューしか出せないけど、休業している店が多いので、この店だけでもなんとかという思いです」。

 強豪を相手に果敢に攻撃した日本に光田さんは「高槻も負けへんで!」と笑った。