6日に死刑が執行された、オウム真理教教祖、松本智津夫元死刑囚(執行時63=教祖名麻原彰晃)の三女・松本麗華氏が9日、ブログを更新し、死刑執行翌日の7日に、逮捕されてから23年間、1度も面会が許されなかった父の遺体と対面したことを明かした。

 その上で、遺体の引き渡しを求めたこと、火葬には同意していないものの東京拘置所の判断で火葬を行う場合は遺骨を分骨して欲しいと意向を伝えたが、認められていないことを明らかにした。

 松本氏は冒頭で「オウム真理教の教祖である松本智津夫の三女、松本麗華です。オウム真理教による一連の事件の被害に遭われた方に対し、心よりご冥福をお祈りし、また謹んでお見舞いを申し上げます」、「父は2018(平成30)年7月6日に処刑されました。この事実をわたくしも、そして家族もみな、厳粛に受け止めております」、「父が逮捕されてからの23年間、ただのひと言も父と話ができなかったことが、残念でなりません。面会が許されなくなってからも、10年以上、毎月一度は面会を申し込み続けてきました。事件を起こしたなら、それはなぜなのか。被害に遭われた方に対して心は痛まないのかなど、聞きたいことがたくさんありました」などと今の思いをつづった。

 その上で、父の遺体と対面したものの、東京拘置所から遺体の引き渡しを認められず、分骨の要請をしたとつづった。

 「昨日7月7日、担当弁護士による数度にわたる交渉の甲斐あって、母、長男、二男、二女、三女5人の家族は父の遺体と短い時間、面会をして参りました。翌日、電話で、拘置所の職員から遺体をわたくしたちには渡すことができない、と告げられました。なぜなのか理由は聞かされませんでしたが、揺るがぬ決定事項という口ぶりでしたので、大きな抵抗感がありましたが、遺骨であるなら引き渡していただけるのか、遺骨すべてが無理ならせめて分骨だけでもとお願いしました。わたしたち家族は父を弔うために、遺体がかなわないならせめて遺骨の一部でも分骨していただきたいと考えたのです」

 「その後、再度父の遺体と対面し、東京拘置所には家族は遺体で引き渡して欲しいと望んでいること、火葬を受け入れているわけではないこと、拘置所の判断で火葬をする場合は、せめて遺骨が欲しい、遺骨がだめならば分骨でもとお願いをしました。拘置所側は、指定人がいるという話や、遺骨は拘置所で預からせて欲しい旨、言っていました」

 松本元死刑囚の遺体は9日、火葬されたが、遺骨の引き取り先は決まっていないといい、法務省は当面、東京拘置所で預かるという。複数の関係者によると、元死刑囚は6日の執行直前、拘置所職員に、自身の遺体を四女に引き渡すよう伝えていたという。松本氏はその件を同日の報道で知ったとブログで指摘し、疑問を呈した。

 「帰宅したのち、今朝7月9日朝の報道で、私たちが四女への遺体の引き渡しに同意したとされていること、法務省がわれわれ家族に連絡がないままにその引き渡しを決定したとしていること、家族全員が父の遺体の火葬に同意したということ等々の文言を目にし、事実とのあまりの違いに驚きました。(中略)そもそも規則上、遺体の引き取りについては執行後に電話でその事実の報告を受けた、父の配偶者である母が意向を示すことができるはずです。また、そもそも父の遺体、遺骨の引き渡しに関しても、家族間の争いなどは生じておりません」

 松本氏は「報道では、父の遺体や遺骨の利用についてさまざまに報じられておりますが、父を宗教的・政治的に利用することは娘として決してできませんし、万が一、その動きがあったとしても家族が決して利用させないことをお約束します」と亡き父を宗教的、政治的に利用するつもりは一切ないと断言した。「また、わたしは以前から申し上げている通り、オウム真理教から派生したいかなる団体とも関係しておらず、派生団体には解散をしてもらいたいと考えていることを、あわせてお伝えいたします」(コメントは原文のまま)と、オウム真理教からの派生団体の解散を願っていることも強調した。