西日本豪雨の被災地では10日、浸水で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市の真備町地区で新たに18人の遺体が見つかるなど、死者が12府県で計157人に上った。広島、岡山両県で半数以上。依然56人が安否不明だ。総務省消防庁によると、同日午後1時の時点で15府県の計1万人超が避難。気温は各地で30度を超え、関係機関による捜索や被災者を取り巻く状況は過酷さを増している。

 広島県府中町では10日、堤防の一部が決壊し、町を流れる榎川が氾濫した。降雨はなかったが、撤去しきれず川に残っていた土石や流木が押し流され、橋にたまって川をせき止めたことが原因とみられる。町は周辺の約2万5000人に避難指示を出し、けが人はいないという。川に近い「りゅうせん幼稚園」では、2~6歳まで約190人の子どもたちが通園。職員によると、氾濫の知らせを受け、「子どもたちには気づかれないように」と配慮しながら高台に避難させた。子どもたちは落ち着いていたという。避難先で子どもたちを保護者に引き渡した際には、「涙ながらに子どもを抱きしめる方もいました」と職員は振り返った。

 氾濫状況を確認していた竹田一法さん(29)は、「鉄砲水のように一気に来た。こんなのは初めて」と驚いた様子。「たくさん橋がかかっているから、それが(川をせき止めた)要因かも」と話していた。