日本列島は18日も高気圧に覆われ、東北南部から東日本、西日本にかけての広い範囲で気温が上昇した。猛暑で知られる岐阜県多治見市では40・7度を記録し、今年の全国最高気温になった。かつて国内観測史上最高の40・9度の日本一の座を守っていた多治見市だが、13年8月に41・0度を記録した高知県四万十市に抜かれた。四万十市の記録まで0・3度に迫り、市民から5年ぶりの「日本一奪回を」の声も聞かれた。
容赦なく照りつける太陽、むっとした熱気…。40・7度を観測した多治見市内のJR多治見駅前。自動販売機で水を買い求めた主婦(52)は「まるで蒸し風呂。もう耐えられない」と悲鳴を上げた。
13年8月に高知県四万十市に抜かれるまで、日本一暑い街だった。午後1時半ごろ、40・0度に達すると、市役所の本庁舎内がざわめき出した。報道各社から、「41・0度を超えたら?」との問い合わせが殺到した。その後も気温はぐんぐん上昇し、午後2時30分に40・7度を観測。今年の全国最高気温になった。同市の担当者は「7月中旬に40度超えは想定外。暑さ日本一? まだ何も準備していません」と戸惑った。
多治見駅前には、高さ4メートル9センチの巨大温度計が設置されている。07年8月に過去最高の40・9度を記録したのにちなみ、地元のライオンズクラブが日本一暑い街をPRしようと、寄贈した。駅前で客待ちをしていたタクシー運転手、今井安太郎さん(69)は「これだけ暑いと、車内のクーラーの効きが悪い」とぼやきながらも、「午後3時ごろ、巨大温度計の表示が41・4度だった。一瞬、四万十市を抜いたかと思った」と振り返った。
温度計中央の柱状の発光ダイオード部分は、温度によって水色、緑色、白色、赤色、赤色点滅と5通りに表示が変わる。今井さんは「温度計が点滅しているのを初めて見た」と驚いた。四万十市に抜かれるまで、多治見市と埼玉県熊谷市は40・9度の日本一の記録をもっていた。高校1年の山崎聡子さん(16)は「これだけ暑いなら、中途半端よりも日本一がいい」と、5年ぶり奪回を期待した。
多治見市は盆地で、熱が滞留しやすいことが猛暑の原因とされる。同市は午後、防災無線で熱中症に注意するよう呼び掛けた。【松浦隆司】