第196通常国会は20日、22日までの会期を前に事実上閉会した。安倍晋三首相は閉会日恒例の会見で、3選を目指す自民党総裁選(9月7日告示-20日投開票予定)の出馬について、「せみ時雨を聞きながら考えたい」と述べた。今年1月には表明時期を「国会が終わり、セミの声が聞こえてきたら」と述べていたが、この日は「東京でもセミの声は聞こえてきたが、豪雨の災害対応に全力を尽くさなければならず、先を考える余裕はない」と、はぐらかした。ただ憲法改正について「候補者が誰でも自分の考えを示す大きな争点になる」と強調するなど、出馬への意欲を示した。

 一方、今国会では森友、加計問題の真相解明が進まず、財務省の公文書改ざんなど不祥事が続発。首相は「さまざまな問題で国民の信頼を損なった。総理という立場が周囲に与える影響を考え、慎重に政権運営に当たりたい」と述べた。

 これに先立ち、野党は内閣不信任決議案を提出。衆院本会議では、立憲民主党の枝野幸男代表ら野党党首が、一斉に首相を非難。枝野氏は、趣旨弁明に衆院最長記録の2時間43分をかけて首相を“説教”した。今国会を「憲政史上最悪の国会」と振り返り、「首相自身がうみになっている。うみを出すと言いながら、逃げ回っているだけ。総理は時間がたてば国民は忘れると思っているかもしれないが、追及が野党の責務だ」と述べ、今後もモリカケ問題を追及する構えを示した。不信任案は否決された。