性的少数者(LGBT)への行政支援に対する疑問を月刊誌「新潮45」に寄稿し、大きな批判を浴びている自民党の杉田水脈(みお)衆院議員(51)に対する抗議集会が27日、東京・永田町の自民党本部前で行われ、4000人(主催者発表)が集まった。

 参加者の1人は、「なぜ辞めないのか。昔なら(同様の問題を起こせば)とっとと辞めている!」と、問題発生時に関する“進退のハードル”が下がっている自民党の対応を批判。杉田氏が寄稿で、LGBTについて「『生産性』がない」と主張したことへの反発は特に強く、「他人の価値を勝手に決めるな」「差別をするな」との訴えや、「人権無視する議員はいらない」と、議員辞職を訴えるシュプレヒコールが起きた。

 また、二階俊博幹事長が杉田氏の発言について「いろんな人生観がある」と発言したことにも「公党の見識として、いかがなものか」などの批判が相次いだ。

 「LGBT自治体議員連盟」で世話人を務める東京・文京区議の前田邦博氏、世田谷区議の上川あや氏、豊島区議の石川大我氏、中野区議の石坂わたる氏の計4人はこの後、杉田氏の発言を「看過できない」などとする安倍晋三首相(党総裁)あての抗議声明を手渡すため、党本部を訪れた。しかし中には入れてもらえず、押し問答の末、声明文は、党本部入り口で警備員が受け取ったという。

 声明文は、杉田氏の寄稿について「根強いLGBTへの差別や偏見を助長するとともに、子どもを産まない人、産めない人、障がいや病気などによって経済的な自立が難しい人をも否定するもの」と指摘。党に対し、「当事者の尊厳を傷つけ、否定する発言を行う場合には、責任ある公党として必要な処分を行うよう強く求めます」としている。

 取材に応じた上川氏は、「これまで多くの当事者は、生きづらさを抱えながら、社会の差別や偏見を恐れて沈黙を強いられてきた。でも黙っていられない言動が国会議員の口から出て、公党として自浄作用がまったくみられない。それが最大政党の自民党だ」と指摘。「多くの当事者たちはやむにやまれず、政治にふだんは無関心な人を含め、多くの人が抗議の声をあげたのではないか」と訴えた。

 「新潮45」に掲載された杉田氏の寄稿は、「『LGBT』支援の度が過ぎる」のタイトル。「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるのか。彼ら彼女らは子どもをつくらない、つまり『生産性』がない」「なぜ男と女、2つの性だけではいけないのか」と持論を展開している

 杉田氏は12年衆院選で日本維新の会から出馬し、比例近畿ブロックで初当選。14年衆院選は落選。昨年の衆院選では自民党の単独比例候補として公認され、比例中国ブロックで当選、再選を果たした。