「GABA(ギャバ)ライス」で厳しい残暑を乗り切ろう。JAとっとり西部(本所=鳥取県米子市)が、同県の品種「きぬむすめ」を独自の製法でアミノ酸豊富なブランド米に変身させた。アミノ酸含有量は通常の白米の約5~10倍、玄米の約2~3倍。しかも、さまざまな食材と合わせることで栄養価も上がる。今回は、江上料理学院(東京・市谷)の江上栄子院長(82)に、「受験」「スポーツ」「夏バテ解消」をテーマにメニューも紹介してもらった。
GABAとは、ガンマ・アミノ酪酸のこと。抗ストレス作用、不眠改善、血圧を下げるなどの効果があるとして、近年注目されている。玄米のほか、チョコレートやキノコ、発酵食品などに多く含まれている。
JAとっとり西部ではこの成分に注目して、伯耆(ほうき)町に国内最大級のGABA米精製装置を1年前に導入した。しかも、研がずに炊ける「無洗米」。新たなお米として広く知ってもらおうと、都内を中心に普及活動をしてきた。
今回、レシピを担当してもらった江上院長は「私たちの主食であるお米は、ゆでる・炊くなど、いろいろな調理方法がある。また、肉・魚・野菜など、どの食材にも合わせられる。こんな万能な主食はありません」と力説する。特に相性のいい栄養素は、GABAの生成を補うビタミンB6と乳酸菌。これらをうまく合わせたメニューを解説する。
(1)受験 これから冬に向けて、本格的に受験勉強が始まる。夏はその基礎力をアップさせる時期だ。勉強によるストレスには、脳への栄養となるブドウ糖と、脳を活性化させるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含む青魚、特にビタミンB6も豊富なサンマがおすすめ。
「焼きサンマのGABAライスちらしずし」は、すし飯にサンマ、錦糸卵、カイワレ大根などでサッパリ味に。「サンマの炊き込みご飯」は、グリルで焼いたサンマを青ジソ、ミョウガなどと合わせて。こちらは温かくても冷めても、しっかりした味わいになる。
このほか、甘酒とGABA米を弱火で10~15分煮て、ミキサーかフードプロセッサーでかき混ぜ、冷やして固める「甘酒ジェラート」、あんこやきな粉と合わせて「おはぎ」にすれば、手軽に食べられる。
(2)スポーツ これから先、全国大会を控えているとか、新チームでレギュラー争いをするという人も多いはず。緊張するシーンも、GABAでストレスが緩和できる。
高タンパク低脂質でビタミンB6豊富な牛もも肉を使った「ローストビーフ丼」は、筋肉疲労を回復するための糖質とタンパク質を同時に摂取できる最適なメニュー。また、同じくビタミンB6の多い鶏そぼろや、疲労回復のクエン酸が入った梅干しの「おにぎり」もいい。
(3)夏バテ 夏バテを解消するには、しっかり睡眠を取ることが大切だ。GABAと乳酸菌を合わせ、リラックス効果を高めたい。
「マグロのキムチユッケ丼」は、ビタミンB6が豊富なマグロにキムチ、キュウリ、温泉卵やもみのりを乗せ、ガッツリ胃袋に。カツオでも可。
「GABAライスのグレインズサラダ」には、体温を下げてくれるミニトマト、キュウリ、カボチャなどの夏野菜と、乳酸菌を含むモッツァレラチーズ、ナッツなどを、炊いたGABAライスとドレッシングで混ぜ合わせる。食欲がなくても、これならスンナリ入る。
「お米は蒸気機関車(SL)の石炭のように、体の動きを持続させるエネルギー。GABAの持つアミノ酸をうまく引き出せれば、生活シーンに役立つはずです」(江上院長)。
◆江上栄子(えがみ・えいこ)1935年(昭10)9月28日、佐賀県生まれ。青学大文学部卒。江上料理学院院長。世界の家庭料理や食文化の普及、料理界の後進の育成などを、今も手掛けている。「60歳からの料理事始め」など著書多数。テレビにも数多く出演。