20年東京オリンピック(五輪)に向けて初のテスト大会となるセーリングW杯が10日、神奈川・江の島ヨットハーバーで行われ、大会組織委員会の職員が視察した。組織委は16日までの大会期間中に延べ200人の職員を派遣し、競技運営を学ぶ。

セーリングは海面が競技場という特性から、テスト大会を2年前、1年前と2度行うのが慣例。組織委担当者は「2度のテストで風や波の具合を見て20年大会のレース海面を決めたい」と話した。

江の島以東に広がるレース海面には漁業海域があり、大会期間中の漁業補償問題で揺れていたが担当者は「漁業問題での海面変更はもう完了している」とし、現在は補償額やカバーできる業態について検討中だという。期限について「来年の秋から冬」と述べた。

一方で、漁業関係者は組織委側と十分な交渉が出来ていないと不満の声を漏らした。客を乗せて釣りを楽しんでもらう遊漁船業への補償の話は全くないまま。大会海域の遊漁船関係者は「通常の商売を安全にさせてもらえれば何も言わない」と語るが、漁船の出港が制限される可能性もあり、通常業務ができる補償もないという。

さらに、五輪セーリングのヨットだけでなく、監視船、遊漁船、レジャーのウインドサーフィンなども加わり「江の島近くの海域は船のスクランブル交差点のようで危険だ。事故があったら、動力船の我々がペナルティーを受ける。交通整理だけはしっかりとお願いしたい」と語った。

「五輪を気持ち良く応援したいが、あまりにも上の人たちだけで決めて、現場にはほとんど説明に来ない。小刻みに来てもらわないと、まとまらないよ」と組織委や神奈川県の対応に、あきれ気味に話した。