史上最年少プロ棋士、藤井聡太七段(16)が14日、大阪市の関西将棋会館で指された第60期王位戦予選で山崎隆之八段(37)に敗れ、デビュー以来2度目の連敗を喫した。

藤井は3日の棋王戦挑戦者決定トーナメントで敗退し、本年度中のタイトル獲得が消滅。この日の対局は来夏の王位戦7番勝負の挑戦者を決める戦いだったが、初戦で敗退した。プロ2年目、タイトル戦予選の初戦黒星は初めて。藤井の公式戦通算成績は89勝17敗。

公式戦での2度目の連敗に藤井は「自分の実力によるものだと思う。力をつけたい」と話し、初のタイトル戦初戦敗退にも「それも自分の実力です。勝ち続けることはありませんから」と悔しさをにじませた。敗因については「序盤でいくつか積極的に指す順があったが、見送ってしまった。少しずつ苦しくなった」と振り返った。

山崎は一般棋戦で8回の優勝経験を持つ強豪。NHK・Eテレの「将棋フォーカス」の司会を務めるなど関西でも人気棋士は「経験を生かすようにして指した。途中、じっくり指されて自信のない展開になり、決められそうになった。そこをしのいだ」と冷や汗の勝利だったとした。

両者の対戦は初めてだったが、藤井がプロ棋士養成機関「奨励会」の会員だったころ、山崎は奨励会で世話役の「幹事」を4年間務めた。プロ棋士として藤井少年の強さを肌で感じていた。

「(藤井は)奨励会時代から注目されていた。(どんな将棋を指すのか)興味はあったが、逆に『見ちゃいけない』と見ないように気をつけていた」。プロ棋士の視線を封印し、幹事の役目に徹した。プロになった藤井との対戦を楽しみしていた。

お世話になった先輩から白星をもぎ取ることはできなかったが、これからも藤井の戦いは続く。