90年代、アムラーの聖地となっていた東京・渋谷。デビュー25周年の今日16日に引退する安室奈美恵のファンたちは15日、渋谷にも集結した。安室のスタイリストが出入りするなど、安室ファッションの発信地だった「SHIBUYA109」では、安室の手形を展示。ファンが2時間待ちの行列を作った。幼稚園時代からファンの静岡市葵区の会社員松下弥由(みゆ)さん(28)は18年版のアムラーファッションに身を包み、「少しでも奈美恵ちゃんを感じたい」と渋谷を訪れた。
奈美恵ちゃん、ありがとう。沖縄で安室の引退を見届けられなかった全国の安室ファンが、渋谷にも集まった。静岡から訪れた松下さんはスーパーロングの髪に、H&Mが今年発売した「Namie Amuro×H&M」のTシャツ、ヒール、ピアスなどでコーディネート。厚底ニーハイブーツ、タイトミニスカートという90年代のアムラーとは違うが、18年版のアムラーとして、あこがれの人のゆかりの地で、引退を見送りにきた。
「母(50)が好きで、私も幼稚園から奈美恵ちゃんに憧れてきました」。小学校では厚底靴を履き、洋服は「奈美恵ちゃんが好きだろうな」という基準で選び続けてきた。成人しても安室が髪を黒くすれば「私も黒くした」。コンサートにも母とよく行った。
なぜ、そんなに好きなのか。「私の人生のいろいろな場面に安室ちゃんがいた。仕事で嫌なことがあっても曲を聴けばがんばれる」。嫌なロケでも「安室ちゃ~ん」と叫んで体を張るイモトアヤコの気持ちが「よく分かる(笑い)」。毎晩泣くほど引退は残念だが「落ち着いたら、ファッションでもなんでもいい。これからも何らかの形で存在を感じていたい」と話した。
渋谷は、安室ファンにとっては聖地の1つ。90年代、スタイリストが「109」などで衣装をそろえ、安室ファッションの発信地となった。渋谷には安室のポスターやフラッグが多数掲げられ、渋谷ヒカリエは、東京、大阪、福岡、沖縄で行われている展覧会「namie amuro Final Space」の東京会場。東急東横線渋谷駅では今日16日まで、代表曲「Hero」が発車サイン音になっている。
109の安室の手形展示には、2時間待ちの行列ができた。助永忍さん(47)と娘の千夏さん(24)は、兵庫県から長距離移動。1時間半以上並んだが、「並んだかいがあったわ」と忍さん。今年の5大ドームツアーも沖縄の最終ライブも「抽選で外れた」といい、渋谷で引退の日を迎えようと上京した。母親としての安室の生き方に共感したという忍さんの好きな曲は、「CAN YOU CELEBRATE?」。千夏さんは「予定はないけど、結婚式は絶対この曲に決めています」と力を込めた。【清水優】
◆アムラー【安室er】 1995年頃に出現した安室奈美恵に憧れ、ファッションをまねしたスタイル。茶髪のロングヘアをなびかせ、日焼けした肌、細い眉、ミニスカート、厚底ブーツが特徴。主に渋谷ギャルの間で大流行し、96年には新語・流行語大賞のトップテンに入賞した。