石破茂氏は19日、渋谷ハチ公前で最後の街頭演説を行い、約3000人(陣営発表)が集まった。石破氏は「15才で上京し、初めて渋谷に来た時、友だちもいなくて、1人でした。ハチ公前で1時間、2時間待っても待つ人が来なかったこともあります」とちょっとさみしい話で演説を切り出した。その渋谷で、多くの聴衆、同志に囲まれる中での街頭演説。「万感の思いです」と感謝の言葉を口にすると、大きな拍手がわき起こった。

森友・加計学園問題もやや下火になる中、現職の首相を相手に戦う総裁選。不利な情勢の中で、期間中には石破派の斎藤健農相に首相支持派が閣僚辞任を迫ったとされる「圧力問題」も浮上した。

石破氏は「一部の人、一部の地域のためだけではなく、日本すべてのため、そして次の時代のために全身全霊を奉仕する自民党でなければならない」と、自民党の本来あるべき姿を訴えた。さらに「官邸は誰にあって誰に会わないのか分からないようであってはならない。圧力が加えられるような、言うことを聞く人間しか使わないような官邸であってはならない」と、踏み込んだ。

同党の中での選挙戦。ギリギリの制約の中、「総理もよくご存じで努力していると思いますが」とフォローもいれつつ「国民に『そうだね』と言ってもらえる結果を出さなければいけない」。さらに「私は権力、圧力があろうが恐れない。私が恐れるのは国民だけだ。あらゆる人に誠実な自民党、ひたすら国民のみを恐れる自民党でありたい」と、長期政権の「おごり」を批判されている安倍氏との違いを打ち出してみせた。

演説後は、聴衆との記念撮影に笑顔で応じ続けた石破氏。「全力は尽くした。私以上に同志の人たちが厳しい状況の中で支持を拡大してくれた。こんなにうれしい選挙はなかった」と締めくくった。