自民党総裁選は最終日の19日、安倍晋三首相と石破茂元幹事長は東京都内の思い入れがある地で街頭演説した。石破氏は首相陣営による圧力を、あらためて批判した。

3度目の総裁選に挑む石破氏は、初出馬した08年の最初の演説地だった渋谷ハチ公前でマイクを握り、約3000人(陣営発表)に訴えた。「15歳で上京し、初めて渋谷に来た時、友達もいなくて、1人でした。ハチ公前で、待つ人が来なかったこともあります」と告白。若者が中心の多くの聴衆に囲まれ「万感の思いです」と力を込めた。

森友・加計学園問題もやや下火になる中、現職の首相と戦う総裁選。不利な情勢の中で、期間中には石破派の斎藤健農相に、首相支持派が閣僚辞任を迫ったとされる「圧力問題」も浮上した。石破氏は「官邸は誰に会って、誰に会わないのか分からないようであってはならない。圧力が加えられるような、言うことを聞く人間しか使わないような官邸であってはならない」と、踏み込んだ。

「私は権力、圧力を恐れない。私が恐れるのは国民だけだ。あらゆる人に誠実な自民党でありたい」。長期政権の「おごり」を批判されている首相との違いを打ち出した。初めて総裁選に立った08年から、自民党は地方や弱い立場の人のそばにいるべきだと訴え続けてきた石破氏。「今回ほど大勢の人が駆け寄ってくれるのは初めて」とし、演説後は聴衆との記念撮影に応じ続けた。【清水優】