豊洲新市場が11日午前0時、約2年遅れで開場した。午前5時すぎの競り開始前、卸売業者を代表して大都魚類株式会社の網野裕美社長があいさつ。「5日前、築地への名残惜しさを振り切り、こちらに来た。新天地でもなんとか栄え、築地を上回る豊洲ブランドをつくり、100年続く市場にしたい」と熱く語った。

午前5時30分、豊洲でのマグロの初競りがスタート。鈴の音と威勢良い声が新市場に鳴り響いた。豊洲での最初の一番マグロは214キロ428万円(キロ単価2万円)で、青森県三厩(みんまや)産だった。6日の築地市場最後の競りでは、青森県大間産の438万5000円(1キロ当たり2万7000円)だっただけに若干、値を落としたが関係者によると「普段は1キロ8000円ほど。正月ほどではないがご祝儀相場なのでは」と語った。

青果棟ではマツタケの競りが行われ、1ケース30万円の値が付いた。築地の最後では8万円だっただけに、こちらは大きくご祝儀価格が付いた形だ。

視察した小池百合子知事は「これまで真っ暗だった場所に命が宿った。築地ブランドを世界に発信していたように、ここでも育ってほしい。すばらしい歴史の1ページだ」と述べた。

一方、一部混乱も見られた。懸念されていた市場回りの渋滞がひどく、場内アナウンスで「晴海通りが混雑しています。都心部へ戻る際は佃大橋、レインボーブリッジへ迂回(うかい)してください」と注意喚起が流れるほど。ターレ(自動運搬車)の通電火災や、ターレと接触した女性がケガをし、救急搬送される事故もあった。【三須一紀】