ハロウィーン当日を迎えた10月31日、東京・渋谷には多くの若者らが集まった。同27日夜から28日朝には逮捕者も出たため、警視庁は警戒を強化したが、この日はセンター街で火災が発生するなど、歩くのもままならないほどの大混雑。深夜まで混乱状態が続いた。
人、人、人-。JR渋谷駅前のスクランブル交差点やセンター街には、スーパーマリオやミニオンズのコスプレや魔女、ゾンビなどの仮装をする若者があふれ返った。深夜になっても渋谷駅を仮装した姿で下車する人も多く、街中には未明まで若者たちの声が響き渡った。友人6人と来たという渋谷区の女子大生(21)は「先週末も参加して楽しかったのでまた来た。こんなに大勢でお祭り気分を味わえるイベントは、なかなかない。楽しすぎる」と、ハイテンションだった。
一方で先週末、通行中の軽トラックが群衆に横倒しされる被害が起き、痴漢や盗撮などによる逮捕者も相次いだことから、警視庁では夕方から数百人規模で警備。軽妙な語り口で人を誘導する「DJポリス」や機動隊を配置するなど、1日未明まで警戒が続いた。
この日もマスクで仮装した男が女子高生に抱きついたり、酔った男が露出の多い衣装に仮装した女性にセクハラまがいの言葉を投げかけるなど、無法地帯のエリアも。渋谷で働く女性会社員(27=杉並区)は「マスクをかぶっている人とか、顔も表情も見えない。何をされるか分からないから恐怖しかない」と、足早に人混みから離れた。
消防車が集まる騒動もあった。午後6時ごろには、センター街の飲食店が入るビル屋上で火災が発生。ダクトからは炎が上がり、周囲に煙が立ち込める中、規制線が張られた。やじ馬が集まって、身動きがとれなくなる場面もあった。
渋谷センター商店街振興組合の小野寿幸理事長(77)は「騒動を通り越して暴動」と批判し、2年後の東京オリンピック(五輪)・パラリンピックを念頭に「怖い街というレッテルが貼られてしまう。来年は禁止にしてほしい」と訴えた。警視庁によると、この日夜、公務執行妨害と痴漢の疑いで男2人が現行犯逮捕された。悪事は繰り返された。
大阪・道頓堀の戎橋でも、飛び込みや橋が揺れるなどの騒動となった。ゾンビメークやアニメキャラクターに仮装した若者が、多数参集。午後8時ごろには、下着1枚の若い男性が戎橋上から飛び込んだ。プロ野球の阪神ファンやサッカーファンが飛び込むことで知られる同橋の上。欄干に警察官が配備されていたが、同橋西側に架かる道頓堀橋とあわせ、10人以上が飛び込んだ。橋上は通行が困難になるほど、人が密集し、橋は波打つような揺れ。周囲にいた人は「やばい」「怖い」などと悲鳴を上げていた。
◆ハロウィーン 秋の収穫に感謝し、悪霊をはらう古代ケルト人の祭りが起源とされる。米国ではキリスト教の聖人を祝う万聖節の前夜祭として、10月31日夜に子どもがお化けや魔女に仮装して近所を回り、菓子をもらうなどの風習が定着した。日本でも2000年代に入って、関連の催しが増加した。