内戦下のシリアで2015年6月に拘束され、約3年4カ月ぶりに解放され、帰国したジャーナリスト安田純平さん(44)が2日午前、東京都千代田区の日本記者クラブで、帰国後、初めて記者会見を開いた。

安田さんは会見で、約3年4カ月に及んだ拘束の中で、組織側から1日2回の食事の提供を受けたほか、監禁された施設によってはテレビを見ることも可能だったこと、母国語である日本語で日記を書くことも認められていたと明かした。

安田さんは「部屋の中にトイレがなく、1日2回、食事を運んでもらう時にトイレを済ませていた」と明かした。その上で、食事について「食事は量も特に少ないことはなく、頻繁に鶏肉、時にシリアのスイーツを持ってきた」と語った。ピザのようなトルコ料理「ラフマジョン」を、トルコの新聞に包んで持ってきたこともあるという。

一戸建ての民家に監禁された際には、衛星番組を見ることが出来た時もあったという。安田さんは「1日6時間、長い時には10時間、電気が付き、テレビを見ることが出来た」と振り返った。

紙を渡され、日記を書けと言われたこともあったという。組織の人間からは「ボスは英語で書けと言ったけれど、母国語でないと難しいから日本語で書くのを認めさせた。テレビもあるし、日記も書かせるし、食事も出す。紳士的な組織だとアピールして欲しい」などと言われたことがあったという。紙がなくなれば、追加も出してきたという。安田さんは「テレビで時間が分かり、日記で日付を追うことができた」と語った。

一方で、大きな施設に移った際、テレビを見ることが出来なくなり、組織の人間に「テレビがなくなったのはどういうことか?」と聞くと「施設が大きいから」と言われ、取り合ってもらえなかったとも語った。そんな中でも、食事のレパートリーは充実し「スイーツ、インスタントラーメンも作って持ってきた」という。安田さんは「(私を)放り出す(解放する)ことも考えていたのではないか?」と振り返った。【村上幸将】