内戦下のシリアで2015年6月に拘束され、約3年4カ月ぶりに解放され、帰国したジャーナリスト安田純平さん(44)が2日午前、東京都千代田区の日本記者クラブで、帰国後、初めて記者会見を開いた。

安田さんは、国内外で自己責任論が飛び交うなど、紛争地に踏み込む取材へ批判が出ていることについて「私自身の行動で日本政府、国民にご迷惑をかけた。私自身に批判があるのは当然のことだと考えている。それに対し、特に私の側から疑問というものはないです。事実に基づかないものもあるように思いますので、あくまで事実に基づいたもので、やっていただきたいという私自身のお願いがある」と語った。

自己責任論については「自己責任についても、当事者の私には言いづらい。(シリアなどの紛争地域は)日本政府が何かしらの救出をするのが非常に厳しい環境にある。自分が相応の準備をし、何か起きたら自分で引き受ける体勢、心の準備をする。自分の身に起こることは自業自得と考えている」と答えた。

その上で「そのこと(自分の準備)と行政がどうするかは別な問題。本人がどうしたのと、行政がどうするかは全く別。本人がどうするかで行政の対応が代わるのは民主主義にとって重大な問題」とも語った。

そして「今回、外務省、国に行政としてやっていただくことをやっていただいた。情報収集が難しい中、必要なことをやっていただいた。解放の理由、きっかけは分からないが、政府として邦人の保護、身代金を払わないのは前提だが、その中でやれることはやっていただいた」と感謝した。

また「外務省の方と話したが、私の近況について事実と違うことがあった。9月下旬に外務省に入ったのも、事実に基づかないものが相当あった」とも言及。「情報収集が難しい。拘束者がいるフリをして、話を持ち掛ける人がいる難しい状況の中、本当に捕まえている組織を探すのは、外務省にとっても難しいと解釈しています。私も理解していますので、外務省の努力に不満はないですし、やれることはやっていただきましたし、家族のケアもやっていただいた。身元確認の時、最初の言葉として伝えています」と外務省に感謝した。【村上幸将】