外国人労働者の受け入れ拡大へ新たな在留資格を設ける、安倍晋三首相肝いりの入管難民法などの改正案は13日、衆院本会議で審議入りした。かつて待機児童問題をめぐり、国会審議で激議を交わした安倍晋三首相と立憲民主党の山尾志桜里衆院議員が、本会議の質疑で対決した。

質問に立った山尾氏は、首相に対し、政府の方針を「粗雑な新制度」と切り捨てた。同改正案について、野党に「移民政策」と指摘されるたびに、首相は否定しているが、山尾氏は「移民政策ではないと、無意味なワンフレーズでごまかすのはやめるべきだ」と、ただした。

政府は、同改正案を来月10日の臨時国会会期末までに成立させて、来年4月からの制度導入を目指しているが、受け入れ対象の業種や規模など、具体的な内容が示されていない。山尾氏は「必要な審議時間確保を前提にすれば、今国会での成立はあり得ない」と、拙速な審議に強く反発した。

首相は、受け入れ対象業種と規模について「近日中に業種別の初年度と5年後の数を示す予定」と述べ、経済情勢の大きな変化がなければ、その人数を上限とする考えを示した。

本会議場の傍聴席には、外国人実習生が座り、首相の発言を見守った。国民民主党の階猛氏は、外国人労働者が置かれた厳しい労働実態について、首相に当事者の主張を聴く意思があるかとただしたが、首相はなかなか答えようとせず、階氏が「再々質問」するまで触れなかった。

3度目の質問でようやく言及したが、「法務省で適切に対応する」と素っ気なく述べただけ。階氏は「筋が通っていない。骨と皮だけの筋なし法案だ」と批判した。