外国人労働者受け入れ拡大に向けた入管難民法などの改正案の審議が始まるはずだった衆院法務委員会は16日、法務省が提出したデータに誤りが発覚したことで混乱、審議入りが見送られた。与党には大誤算だ。

誤りが見つかったのは、失踪した技能実習生への調査結果。失踪動機について、これまで「より高い賃金を求めて」が約87%としていたが、「低賃金」が約67%と訂正。法務省は集計ミスなどと説明したが、結果概要を国会に提示した際、聞き取りに使った聴取票には動機の項目に「低賃金」がなく、結果概要には項目にない「より高い賃金を求めて」が登場。野党は「致命的ミス」と批判した。

自民党の葉梨康弘委員長は職権で審議入りしようとしたが、立憲民主党が委員長解任決議案を提出し、委員会は見送りに。立民の辻元清美国対委員長は「情報開示が不十分なまま強引に審議を進めようとした。あまりにも無謀。委員長の任にあらずだ」と批判した。

与党は20日の衆院本会議で解任決議案を否決し、審議入りを目指すが、働き方改革法案の審議過程でもデータ改ざんが見つかっており、法案成立ありきのずさんな体制が今回も露呈。安倍政権は臨時国会中の成立を目指すが、不透明だ。首相は訪問先のオーストラリアでの会見で「緊張感を持って国会対応に努めたい」と述べた。【中山知子】