外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案に関連し、2015年~17年の3年間に、外国人技能実習生が69人死亡していたことが、6日の参院法務委員会で明らかになった。法務省の集計に基づき、立憲民主党の有田芳生氏が指摘、事故や凍死のほか、溺死が7人、自殺者も6人いたという。

技能実習生をめぐっては、野党の調査で過酷な労働実態が次々に判明。失踪が相次ぎ、今年は上半期で4279人と過去最多。制度の疑問点が拡大している。

法務省側は、死亡者の実態について「これから調査する」などと述べるにとどめた。有田氏は「外国人が安心して日本で仕事できる環境ではない」「法務省が分からないのはおかしい」と批判。安倍晋三首相も「亡くなった経緯は、今初めて聞いた。私は答えようがない」と素っ気なく答え、「今までの制度に問題がなかったとは、まったく思わない。法案を通してもらえれば省令でしっかり対応する。さまざまな指摘を踏まえて新たな制度をつくる」と述べ、法案成立に反対する野党に協力を求めた。

ただ、この日の6時間の審議中、首相が出席したのはわずか2時間。首相が、最初に山下貴司法相に答弁を“丸投げ”してから答える場面も多く、野党議員は「総理だろ!」と猛反発した。首相が5日に「ややこしい質問を受ける」と発言したこともあり、野党の怒りは頂点に達した。

政府は来春からの法施行を目指し今国会中の法案成立を目指す。深刻な人材不足を理由とするが、立民の小川敏夫氏は「人材不足を放置してきたあなたの責任だ」と首相を批判。首相は「労働力不足はもっと前から。前の政権は努力してきたのか」と民主党政権批判にすり替えて、反論した。

野党は質疑後、横山信一参院法務委員長の解任決議案提出で6日の採決を阻止。与党は7日の法案成立を目指すが、野党は山下法相の問責決議案なども念頭に、法案成立阻止を目指す。