神奈川県内の東名高速道路でのあおり運転により夫婦が死亡した事故の裁判員裁判(深沢茂之裁判長)で、判決公判が14日、横浜地裁で行われ、石橋和歩被告(26)に懲役18年(求刑懲役23年)が言い渡された。争点となった「停車後の危険運転致死傷罪の適用」について、あおり運転全体と後続車の追突事故との因果関係が認められた。

<若狭勝弁護士の目>

今回の判決は、因果関係について広く、大きく、緩やかに捉える方向に変わってきた最高裁の考え方を踏まえ、それに沿ったものと評価できる。横浜地裁は、停止行為は危険運転致死傷罪の実行行為に当たらないとしたが、4回のあおり行為の結果、夫婦が亡くなったことに密接に関連したとしている。判決文の「危険性が現実化した」という文言が最高裁の考えを表しており、もし最高裁まで裁判が進んだとしても、有罪判決は維持されるだろう。

ただ23年という検察の求刑は妥当だが、そこから5年減らした懲役18年という量刑に関しては、危険運転致死傷罪としては軽すぎると思う。今回の件では横浜地裁も、自動車を運転するのに停止まで含めるのは無理があるとしているように、危険運転致死傷罪の典型的なものとは言い難い。もちろん判決文には書けないが、それで量刑を減らした可能性がある。