世界の報道写真の優秀作を発表する「イヤー・イン・フォーカス2018」展示会(ゲッティイメージズ)が18日、都内のギャラリーでスタートし、特別企画「AIが選ぶ今年の1枚」がお披露目された。

対象となった写真は、エンタメ7万点、スポーツ5万点、時事ニュース4万点。脳科学と人工知能を融合したニューロAI(NTTdata)が選んだのは、米フォトグラファー、アンドリュー・レネイセン氏がイエメン内戦の一場面をとらえたニュース写真。今年9月、戦死したイエメン戦士と野外病院の遺体安置所で対面する友人を撮影した。

写真を見た時の人間の感情や印象を、脳活動の推定モデルから解析し、数値化する。「優しい」「温かい」などのポジティブワードと、「怖い」「悲しい」などのネガティブワードの両方を強く併せ持った作品ほど「心の量」の数値が高くなる仕組みだ。

選ばれた写真は、「恐ろしい」「悔しい」「むなしい」「罪深い」などのネガティブワードと、「繊細」「穏やか」「尊い」「人間的」「静か」などのポジティブワードを強く持ち合わせた1枚だったという。解析したNTT dataの矢野亮さんは「これらの言葉は、あえて言葉にしないが、人間が持っているもの」とした。

主催するゲッティイメージズジャパンの島本久美子社長は「よくこの写真を選んでくれたと、鳥肌が立ちました。心によぎっているが口には出さない人間の感情を、AIはとらえている」と評価する。何もない空間や白い壁などの構図も、写真としてインパクトがあるという。「『動』ではなく『静』の写真でありながら、力とインパクトがある1枚を選んでいて、年々進化していることを感じる」と話した。

ゲッティイメージズは、世界200カ国以上に写真コンテンツなどを提供する世界最大級のデジタルコンテンツカンパニー。展示会は東京・港区の新虎通りCOREで21日まで。