16日に引退を発表した、横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)の母校・茨城県龍ケ崎市立長山中学校は、6年前から校内に「稀勢の里資料室」が設置されている。神吉哲寛教頭(52)は、稀勢の里の引退後も資料室は存続し、リクエストがあれば学校が休日の日に開館する方向だと明らかにした。

同校の公式サイトでは、

2月28日付で学校行事の都合により当分の間、休館するとされているが、神吉教頭は「今後のことは何1つ決まっていませんが、教育活動の妨げにならないよう、問い合わせがあれば予約を受け付け、休日に開館する不定期の形で公開していました」と説明。休日のため、公開した場合は、学校の職員が休日出勤し、ボランティアで対応してきたといい、今後も、その方向でリクエストがあれば開館するという。

「稀勢の里資料室」は、同校の30周年記念事業として2012年(平24)に設置された。当時、勤務していた美術科の教員が土俵などを作り、美術部の生徒が「応援パネル」と題して書いた、大きな絵を飾った。そこに、稀勢の里の両親らから提供された幼少期からの写真、中学の卒業文集などが展示されている。稀勢の里も大関時代の同9月25日に母校を訪問し、大関に昇進するまでの体験談などを後輩に語っている。

稀勢の里の引退を受け、テレビ、新聞、通信社など複数のメディアが同校を取材に訪れた。その中、女子生徒2人がメディアが取材している間に、教員が各学年への連絡用に使っている黒板にそっと近づき、チョークを手にした。そして稀勢の里の絵と

「稀勢の里先輩 お疲れ様でした! たくさんの感動をありがとう」とメッセージを書き、そっと下校した。先輩への感謝の思いが、小さな黒板からにじんだ。