第160回芥川賞、直木賞の選考会が16日、都内で開かれ、芥川賞は上田岳弘氏(39)の「ニムロッド」(群像12月号)、町屋良平氏(35)の「1R(いちらうんど)1分34秒」(新潮11月号)の2作品、直木賞は真藤順丈氏(41)の「宝島」(講談社)が受賞した。芥川賞にノミネートされ、注目されていた社会学者でコメンテーターの古市憲寿氏(33)の「平成くん、さようなら」(文学界9月号)は受賞を逃した。

直木賞選考委員の林真理子さんが「平成最後の直木賞にふさわしい素晴らしい作品。第1回投票で圧倒的な票を集めた」と絶賛したのが「宝島」だった。つらく重い沖縄の戦後史を描きながら、突き抜けた明るさで沖縄の人たちの強さやユーモアを浮かび上がらせる。7年かけて書き上げた。

真藤氏は受賞会見で「沖縄の戦後史を多くの人に知ってもらいたかった。沖縄の問題を考えるときの一助になればと思います」と話した。贈呈式は2月下旬。