東京・港区で発見された正体不明の路上芸術家バンクシーの作品に似たネズミの絵をめぐり、絵を撤去し倉庫で保存している東京都が、有効な真贋(しんがん)鑑定方法を確定できていないことが18日、分かった。

都の文化振興部担当者は「バンクシーの作品と、(最終的に)確定的なことが言えるのか、現時点では情報がない」とやや困惑した様子。真贋鑑定できるのか、その手順などについて「これから専門家などにヒアリングしていく」としている。

バンクシー作品については、本人が創設にも関わった「Pest Control(ペストコントロール)」という団体が発行する証明書が、唯一の認定方法とされる。ただ、都の担当者は「販売作品が対象という情報もある。今回は『落書き』だから、はまらないのかもしれない。そのあたりも含めて、情報収集することになる」とした。

防潮扉という公共物への落書きの真贋判定をするという、異例の対応となる。都は「(落書きは)犯罪。許されない、という認識は持っている」と注意喚起した上で、「(バンクシー)作品ということになれば、話題性もあり、価値の否定はしない。(絵を)消してしまうとか、議論されていない中でするのもどうなのか」と、理由を説明した。

現場から撤去したことについては、作品性が損なわれるという批判もあるが、「防潮扉の機能が失われてはいけない。人が殺到したり、事故や盗難の可能性もある。都民の生命、財産を守るのが最優先」とした。

16日の撤去以降、小池都知事のツイートに多くの芸能人が意見するなど、一気にチュー目となったバンクシー騒動。真贋の白黒つかぬ「ネズミ色決着」にならないとよいが、果たして。【大井義明】