お台場のガンダム立像をめぐり、取引先の施工業者と共謀してイベント工事の代金を水増し請求させて、約1000万円をだまし取ったとして、警視庁は18日、詐欺の疑いで、大手玩具メーカー「バンダイ」(東京都台東区)の元社員で職業不詳の宇田津貴志(44)と無職の黒川貴夫(66)の両容疑者を逮捕したと発表した。逮捕は17日。

2人は2013年7月中旬から8月中旬にかけて、バンダイが発注した東京・お台場に立つ高さ18メートルの「実物大ガンダム立像」のイベント工事の代金をだまし取る目的で、施工業者に水増し請求を指示し、施工業者の口座に振り込まれた工事代金のうち、上乗せ分の約1000万円をだまし取った容疑が持たれている。

“ガンダム詐欺”のニュースを報じた報道各社のうち数社が現在、ダイバーシティ東京プラザ前に建つ実物大ユニコーンガンダム立像の写真を配信したことに「機動戦士ガンダム」のファンがインターネット上で敏感に反応している。一部のファンは、10年から14年までDVD&ブルーレイが発売され、16年にはテレビ放送されたアニメ「機動戦士ガンダムUC」に登場するユニコーンガンダムの開発を手がけた、「死の商人」と評される架空の企業「アナハイム・エレクトロニクス社」にちなみ「アナハイムが汚い」などとツイッター上に投稿し、トレンドワードになった。

ただ、実物大ユニコーンガンダム立像の展示が始まったのが2017年9月24日だった一方、バンダイの内部調査で宇田津容疑者が13年から17年にわたり約2億円を不正に搾取していたことが判明し、懲戒解雇されたのは同10月17日付だった。

そのため、同容疑者の一連の詐欺の対象になったのは、12年から17年3月5日まで展示された“ファーストガンダム”と呼ばれるRX78-2ガンダムの実物大立像だとし、報じられたニュースにつけられたユニコーンガンダムの写真とアナハイム社批判に違和感を訴えるファンも登場した。ツイッター上では「悪いのは(RX78-2ガンダムが所属する)連邦軍」とツイートしたり、RX78-2ガンダムが登場したアニメ「機動戦士ガンダム」の主題歌「翔べ!ガンダム」の歌詞を引き合いに「『正義の怒りをぶつけろガンダム』という主題歌が詐欺だ」などの突っこみツイートまで飛び交った。

ガンダムシリーズは、ロボットアニメながら、人と人が戦うなど現実世界に近いリアルな設定が受け、日本アニメ史の歴史に残る大ヒットシリーズとなった。リアルな作風の「ガンダム」に登場するロボットが、実物大で制作された立像にまつわる詐欺事件だけに、ツイッター上はヒートアップした。その中、今回の詐欺事件はイベント工事代金にまつわるもので、立像は関係ないと冷静に指摘するツイートも見られた。