競泳の池江璃花子の白血病公表に対する「がっかり」発言が波紋を広げた桜田義孝五輪相に、“異例”の拍手が飛ぶひと幕があった。

14日の衆院予算委員会で、東京電力福島第1原発事故後に発生した指定廃棄物について、13年10月に「原発事故で住めなくなった福島の東電の施設に置けばいい」と発言して撤回に追い込まれた問題を、野党に指摘された際、事故後の福島への支援に、自身がいかに尽力したかを力説。不安定な大臣答弁とは対照的に、自身たっぷりの答弁だったこともあり、与党席から拍手が送られた。

立憲民主党会派の今井雅人氏は、桜田氏の発言について「今回は、安倍総理もおっしゃっているように復興五輪だ。過去にこういう発言をされている方が復興五輪の担当大臣でいいのか」と、資質に疑問を投げかけた。桜田氏は「誤解を招く表現だった。福島の人たちに配慮が足りなかった。そういう気持ちはないが、誤解を与えてしまった」と釈明。しかし今井氏は「誰にで失言はあるが、これだけ数々の失言があると、本音ではないかと感じざるを得ない。本当にこういう方が復興担当の五輪相でいいのか」と批判した。

その後、桜田氏は別の質問に対する答弁の際、「(五輪相に)ふさわしくないとのことだが、私の名誉のために言わせてもらう」と述べ、自身が関わった支援について語り始めた。「(事故後)福島の仲間から『(支援を)手伝ってくれ』といわれた。石油や食べ物、カセットコンロが足りないと言われ、私は九州から取り寄せ、石油も何軒も地元(のスタンド)を回って在庫ゼロになるまで用意し、トラックいっぱいにして運んだ」。その上で「(福島のために何も)やってこなかったとは、これっぽっちも思っていない。福島のためにやってきたという自負でいっぱいだ」と、自身たっぷりに声を張り上げた。

質問した今井氏も「それなら、もう不用意な発言はしないでほしい。この言葉(失言)で全部(努力が)飛んでしまう」と、桜田氏に失言に注意するよう呼びかけた。失言への批判を、自身のアピールに替えてみせた結果になった。【中山知子】