毎月勤労統計の調査対象事業所の入れ替えに伴うデータ変動をめぐり、厚生労働省の担当者が15年3月、当時の中江元哉首相秘書官(現・財務省関税局長)に説明し、中江氏が「問題意識」を伝えた問題が、同様に首相秘書官がキーマンとなった「モリカケ問題」の再来ではないかと、永田町をざわつかせている。

中江氏は、統計の調査対象事業所入れ替えに伴うデータ変動について説明を受け、「実態を適切に表すための改善の可能性」などの問題意識を伝えたとされる。15日の衆院予算委員会で中江氏は、官邸がアベノミクスの効果を演出するため、調査手法見直しなどの「圧力」をかけたのではと追及されたが、「政府に都合のいいデータが出るよう、不適切な方法を取らせる意図に基づくものではない」と述べ、厚労省側への不当な圧力はないと否定した。

一方、中江氏が「問題意識」を伝達後、厚労省は5月、勤労統計に関する有識者検討会を発足させた。野党は、中江氏の「問題意識」が検討会発足につながったと指摘。首相秘書官の「圧力」が「アベノミクス偽装」につながった疑いがぬぐえないとして、週明けの予算委でも追及する。