将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(16)は16日、東京都千代田区で指された「第12回朝日杯オープン戦」の決勝で渡辺明棋王(34)を破り、2連覇を果たした。

羽生善治九段(48)に次いで同棋戦史上2人目の2連覇の快挙に、地元・愛知県瀬戸市のファンらは「誇らしい」と喜んだ。瀬戸焼で有名な同市に、陶器と将棋がコラボした応援グッズも誕生した。

地元・愛知県瀬戸市ではファンら約30人が瀬戸市文化センターに集まり、手元のスマートフォンをみながら声援を送った。終盤、藤井がタイトル保持者の渡辺棋王をじりじりと追いつめると「いける」と声が漏れ、投了すると、「すごいぞ!」の声が上がった。

バンザイの掛け声とともに両手を高々と上げた50代の男性は「誇らしい。地元の期待にも応えて結果を出すのは、すごいこと」と喜んだ。手作りの「祝 朝日杯連覇 おめでとう」の横断幕も掲げられた。

陶器の街として有名な瀬戸市。地元のヒーローを応援する陶器と将棋がコラボした応援グッズも販売されている。瀬戸市の陶磁器販売「鐘忠陶器」は将棋の駒をモチーフにした陶器の箸置きを作った。

「王将」「飛車」「角行」「歩兵」の4種類、1個250円で販売。箱には「藤井七段 応援してます」の手書きのメッセージが添えられている。

コラボ応援グッズを作った同店の水野忠輔さん(39)は「以前から瀬戸焼で藤井七段を応援するグッズを作れないかと考えていた」。昨年2月に完成し、活躍とともに売れ行きは好調だ。藤井の得意とする戦型は「角換わり」。箸置きの1番人気は「角」という。

水野さんは「将棋に興味を持つ人も増えてきた。将棋の箸置きをきっかけに話が弾むことも多い」と、“藤井効果”を実感している。

昨年3月、瀬戸市は藤井に「瀬戸に大きな活力をいただいた」と第1号となる「瀬戸市民栄誉賞」を贈った。昨年8月には瀬戸市や地元企業などが中心になり「瀬戸将棋文化振興協会」が設立された。同協会は将棋を市民文化として普及しようとする官民挙げての組織だ。焼き物の街に将棋が根づきだした。【松浦隆司】