佐賀市の畑瀬信芳副市長(60)が18日、市議会に説明せず廃校となった旧富士小学校体育館を改修し、市政を混乱させたとして引責辞任した。

畑瀬氏は、懇意にしていたJ1サガン鳥栖の竹原稔社長(58)から「バスケの出来る体育館を探している」などと依頼を受けたという。竹原氏の息子哲平氏は社会人バスケチーム「佐賀バルーナーズ」の社長で、同チームの運営会社は畑瀬氏の息子が働くなど関係性が問題視されており、市も把握していた。

佐賀市によると、畑瀬氏は佐賀バルーナーズ設立前年の17年、竹原氏から昼食中に「プロを目指すチームを作りたい。練習場を探している」と打診された。18年2~3月にかけ市民会館を解体した残金など余った予算を集めて耐震補強などの改修をしたが、そのことを同3月、6月の定例市議会で説明していなかった。

同9月の市議会で議員から「どういうことだ?」と質問が出て問題が発覚した。総務委員会では、竹原氏との関係が「民間との癒着、利益供与の疑念を与えた」と問題視された。同10月には関連費用を盛り込んだ17年度決算が市政初の全会一致で不認定とされた。

竹原氏は畑瀬氏との関係について「陰で会っていたわけでなく大勢で会っていた。内部の手続きの話は分からない」と説明。さらに「関係ない。責任を取ることじゃないし、責任を取ったらおかしいでしょう」と自らに責任がないことを強調した。息子がバスケチームの社長である点を指摘されると「それが悪いというなら辞めてもいい。サガン鳥栖も両方とも。もし辞めろという声があるなら辞めますよ」と語気を強めた。【村上幸将、菊川光一】

○…畑瀬氏の辞任にあたり、一部では食品会社社長を務める畑瀬氏の妻と鳥栖の竹原社長が、佐賀市内の飲食会社の取締役に名を連ねたことなど深い関係性が報じられた。佐賀市の関係者は「報道後に知りました。把握しています」と答えた。同関係者は、体育館をスポーツ合宿が可能な施設に改修するプランを、畑瀬氏が1年前倒しした上で、体育館のステージを取り壊し、バスケコートを作ることが出来るようスペースを広げたと説明。佐賀バルーナーズの専用ではないとしたものの「他の団体の使用は数えるほど」と説明した。