自民党は21日、元交際女性から準強制性交容疑の告訴状を愛知県警に出された田畑毅衆院議員(46=比例東海)の離党届を受理した。

党紀委員会の山東昭子委員長が、会見で発表した。

4月の統一地方選や衆院補選、夏の参院選を前に、深刻な女性問題を起こした田畑氏をかばう声はない。委員からは、最も重い除名を求める声もあったが、現状では田畑氏と女性の間で主張が食い違うことや、男女間の問題であることを踏まえて「この辺(離党)が妥当だろうということになった」(山東氏)が、「甘いのではないか」(党関係者)と疑問の声もある。

一方で、山東氏は「政治とは関係ないところで離党につながったことは残念でならない」と強調。「党紀委は辞職を促す場ではなく、政治家の出処進退はあくまで自分で判断するもの」と述べ、田畑氏を突き放した。「選挙イヤー」を意識したスピード決着になったが、党紀委に先立ち、田畑氏が所属する自民党愛知県連が、議員辞職させるよう文書で要請。実際の党内は、「離党では済まない」との空気が大勢だ。

ただ、田畑氏が辞職すると、所属する二階派会長の二階俊博幹事長が無所属のまま入会させた細野豪志衆院議員と、繰り上げ当選となる吉川赳氏が同じ静岡5区のため、同じ選挙区で競合する議員が2人生まれる異常事態になる。二階氏に忖度(そんたく)した田畑氏が、辞職に踏み切れるのか不透明との見方もある。二階氏は派閥会合で「誠に申し訳ない」と謝罪した。

田畑氏の地元では、地方議員が同氏と写ったポスターの作り直しを迫られている。

影響は拡大する一方だが、田畑氏は依然公の場に現れず、説明責任も果たしていない。【中山知子】