東京都議会は6日の本会議で、旧築地市場(東京都中央区)の跡地再開発に関する30年度中央卸売市場会計補正予算を、都民ファーストの会などの賛成多数で可決した。これまでの市場会計から、一般会計に移し替える「有償所管換え」に伴う費用、約5600億円が盛り込まれた。

採決は、都議会の補正予算では異例の記名投票で行われた。

同補正予算をめぐっては、旧築地市場再開発をめぐる小池百合子知事の発言が当初方針から変わったとして、都議会自民党や共産党などが反発。審議が深夜まで及ぶなど、議会の混乱も招いた。

小池氏は17年6月、「築地は守る、豊洲を生かす」のキャッチフレーズと、築地を「食のテーマパーク機能を有する新たな市場」に整備する基本方針を発表したが、今年1月、都が公表した方針素案からは市場機能案が消え、国際会議場などでの整備となっている。

自民は討論で、「5000億円を超える全く新たな予算であり、補正予算とは呼べない」と、補正予算に組み込んだことを批判。「知事は少しずつ口ぶりを変えているのに、方針はまったく変わっていないと詭弁(きべん)を労している。説明責任を果たしておらず、都民の納得を得られるとは思えない」として、反対の意向を示した。

立憲民主党系の会派は「方針転換と考えている都民は多い。知事の説明が今回の混乱の大きな原因だ」と指摘。「不都合な部分があっても説明し、より多くの理解を得る必要があった」と、小池氏の説明不足が混乱の要因との見方を示し、築地に戻ることも考えていた仲卸業者に謝罪すべきと訴えた。

小池氏は取材に、「お認めいただき、ありがたい。審議を経てこのような結果に落ち着いた。議会の方でお決めになったことだ」と強調。再開発案について、「パブリックコメントや都議会の審議を反映させた街づくりの案を、年度内にまとめたい」と述べ、3月中に再開発案を示す意向を示した。

「(築地の)ベストロケーションや、地域のポテンシャルを生かしたい。都として仕切りながら、民間の知恵も頂く」とし、「まさに私が前から言っている基本方針そのものだ」と、この日も自身の方針に変更はないと訴えた。