会社法違反(特別背任)などで起訴された、日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)が12日、東京都内にある弁護団の弘中惇一郎弁護士(73)の事務所を訪問し、6日の保釈後、初めて弁護団会議に出席した。同日、日産とフランス自動車大手ルノー、三菱自動車の3社が連合強化を目指す新たな意思決定機関「アライアンスオペレーティングボード」の設立を発表したが、同被告は「日産は大丈夫か? リーダーシップが必要なので心配だ」と注文を付けたという。

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弁護団会議後、取材に応じた弘中弁護士は、ゴーン被告の印象的な言葉について聞かれ、同被告が「日産がこのままで大丈夫か」と不安を訴えたと明かした。

ゴーン被告は、3社による新機関発表と同時間帯の午後4時半に事務所を後にしたため会見の映像は見ていないというが、黙っていられなかったようだ。「日産を支えていくには、それなりのリーダーシップが必要なので、その点が心配だ」と具体的に指摘したという。

新機関の議長に就任するルノーのジャンドミニク・スナール会長含め、ゴーン被告は現有の人材に納得できないようだ。弘中氏は「リーダーシップのある人材がいないという意味か」と聞かれ「そういうことなんでしょう」と語った。日産が作る調査報告書についても「多分、非常に細かい小さな問題ばかり」と意に介さなかったという。

ゴーン被告は、この日の日産取締役会の出席を東京地裁から許可されなかった。それでも「逃げ隠れせずに取締役会に行って、きちんと説明したいという姿勢を示した。伝わったから、それはそれで良かったのではないか」とサバサバした態度だったという。

会見については「やる以上は考えて、きちんと自分でどういうことを言うか決めてから出たい。少し時間を下さい」と慎重な姿勢を示したといい、来週以降にずれ込む見通しだ。

また、自宅に監視カメラがつくなど厳しい保釈条件がついた現在の生活に「非常に窮屈だ。もう少し弾力的にして欲しい」と漏らしたという。弁護団は、公判前整理が進めば保釈条件は合理的に変えられていくと説明したという。【村上幸将】