井山裕太五冠(29)に193手まで中押し勝ちし、決勝に進出した中国の柯潔(カ・ケツ)九段(21)は「厳しい局面が多かったが、幸運だった。途中、諦める気持ちも多少あった。日本の第一人者。緊張した」と振り返った。

井山五冠には18年2月の第22回LG杯朝鮮日報棋王戦準決勝で敗れて以来の、公式戦での対局だった。印象について聞かれると「非常に実力もあり、読みの力がすごい。読みの力だけなら井山さんの方が上。殴り合い、乱戦になると井山さんの方が有利」と評した。一方で「井山さんと打つと、じっくりと寄せ合う体勢になれば1番勝つ可能性が高いが、彼も仕掛けるしコントロールできない。一生懸命打てば、うまくいく」と胸を張った。

明日20日の決勝では、17年の第1回からの3連覇を目指す、韓国の朴廷桓(パク・ジョンファン)九段(26)と対戦する。柯九段は「朴九段は韓国の第一人者。ベストを尽くして1番、いい碁が打てれば。自信はあります。彼が唯一、私を脅かせる、1番争える相手。勝負の分かれ目は現場で調子が良く、いかにうまく打てるか」と、世界一決定戦を前に気を引き締めた。

決勝に向けた勝負飯として、この日の夕食に何を食べるかと聞かれると「まだ決まっていません。昨日は、日本の居酒屋に入った。たくさん料理が出てきたので、ハッキリ何を食べたかは覚えていない」と言い、笑った。【村上幸将】