塚田一郎国交副大臣(55)は、1日の北九州市の会合で、「安倍晋三首相や麻生太郎副総理は言えない。でも私は忖度(そんたく)します」と発言した問題を受けて、3日の国会審議で「事実と異なる発言だった」と自らの発言を撤回し、謝罪と釈明に追われた。

発言は、山口県下関市と北九州市を結ぶ「下関北九州道路」の整備計画進展に関するもの。下関は首相の地元、北九州は麻生氏の地元に近く、「安倍・麻生道路」との声もある。塚田氏は麻生派に所属している。

発言が出た会合は、麻生氏が支持する新人が現職に先行されている福岡県知事選(7日投開票)の集会。そんな背景の中、公共事業を所管する国交省の副大臣が、地元への利益誘導をアピールするような形となり、自民党でも「今どき、こんなことを言うか」(関係者)との声が出ている。

自民党幹部の吉田博美参院幹事長の発言として、「塚田、分かっているな」という言葉まで紹介し、「私は物わかりがいい。すぐ忖度します」と、了承したような発言をしたことも、問題を深刻にしている。

衆院内閣、厚労両委員会に出席した塚田氏は、吉田氏に関する発言も事実ではないと述べ、吉田氏も塚田氏の発言を否定する談話を発表。塚田氏は「首相の地元だから特別な配慮をしたことはない」と主張し、「大勢が集まった会で、われを忘れて間違った」と述べたが、事実なら、選挙期間中に有権者にうそを伝えたことになってしまう。

野党の辞任要求は拒否し、首相も続投させる方針だが、新元号発表後、上昇する内閣支持率にブレーキをかける大失言。首相や麻生氏、「忖度」とくれば、モリカケ問題も再燃する。野党は「言った時点でアウト」(立憲民主党の辻元清美氏)と、早期辞任を求めて追及を強める。【中山知子】