将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(16)が2019年度も白星発進した。12日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第69期大阪王将杯王将戦1次予選で、森内俊之九段(48)に勝った。一昨年9月に放送されたNHK杯トーナメント2回戦以来の再戦。

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羽生善治九段とともに「平成」を代表する元名人が目の前にいても、藤井はひるまなかった。新年度初戦も、得意の終盤力は切れ味抜群だった。「最後まで分からなかった。負けの変化でもおかしくなかった」と冷静に振り返る。しっかり読み切って、白星につなげた。「いいスタートが切れた。成長できる1年になればいい」と抱負も口にした。

渡辺明王将への挑戦者になるには1次予選であと2勝し、さらに2次予選をクリア、7人総当たりの挑戦者決定リーグでトップになるのが条件だ。藤井にとって、19年度内のタイトル奪取の期待がかかる王将戦は、年末までの長丁場。頂点まで、1勝ずつ着実に積み上げていく。

16年12月の加藤一二三・九段との衝撃のデビュー戦から4年目。扱いはもうトップ棋士レベルだ。将棋界の平成時代を振り返るイベントが今月29日、都内のホテルで行われる。羽生、森内のほか、谷川浩司九段、佐藤康光九段、渡辺王将らそうそうたるメンバーの中、平成生まれの男性プロでただ1人出演する。

インターネットテレビ「AbemaTV」の対局企画「AbemaTVトーナメント」(28日~放送)は、前回優勝でシードとなった。予選から出場する菅井竜也七段(前王位)、中村太地七段(前王座)、糸谷哲郎八段(元竜王)らタイトル獲得経験者を、16歳が迎え撃つことになる。

立場が変わり、5月に元号が「令和」になっても、進む道は変わらない。「改元は初めてのことで、感慨はあった。新しい時代にもっと強くなりたい」。藤井の、さらなる高みを目指す19年度が始まった。【赤塚辰浩】