将棋の藤井聡太七段(16)は28日、千葉・幕張メッセで行われた「ニコニコ超会議」で、ひふみんこと加藤一二三九段(79)と対談し、対局の際の心構えや、令和の新時代に向けた決意を語った。

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司会者に互いの共通点を問われた藤井は、「タイトルの前に負けると思ったことがない」と語る加藤に対し、「私も、対局の前にいい将棋を指そうという思いで臨んでいる」と、勝負師との心境を吐露。「性格も明るい」とひふみんが笑うと、藤井も「あはは。そうですね。前向きな気持ちは大切です」と応じた。

一方、タイトル獲得に必要なものはと問われた藤井は「トップ棋士と対戦する機会もあるが、大局観といわれる部分、全体をみて正確に判断することの力で、まだ差があると思った」と、自身を冷静に分析。これに対し、加藤は「藤井さんの将棋は、肉を切らせて骨を断つという、将棋の歴史上、最も厳しい戦い方だ。大山(康晴・名人)さんにしても、肉は切らせなかった。このおだやかな藤井さんが、なぜそんな厳しい将棋ができるのか」と、トップを極めた勝負師にしか分からない深い読みで、藤井の棋風を分析した。

高校2年になった藤井は、自身の生活にも触れ「高校に行ったことで(学業と将棋の)どちらにも影響がある。そういうところを生かしながらやりたい」。加藤から「大学に行きたいでしょ」と問われると、「まだ何とも。具体的に考える時期ではなく、これからゆっくり考えたい」と述べた。天気予報の降水量や、気温のデータといった数字を見るのが好きだという意外な素顔も明かした。

加藤は、みそ煮込みうどんが好きだという藤井の「勝負メシ」にも言及。かつて自身は、昼も夜も将棋メシにうな重を選んだ伝説の持ち主だが、「私は卒業しましたが、うな重はまだ早いよね」と語りかけられた藤井は、「まだ頼んだことはないが、いつか頼んでみたい」と、応じた。

「藤井さんは天才。私や大山さんよりはるかに研究熱心。タイトル獲得へ一気に駆けのぼってほしい。きっと大成功する」。大先輩の言葉に、藤井は「非常にありがたく思います。期待に応えられる活躍ができるようにしたい」と、応じていた。【中山知子】