近年の高齢化社会と健康志向の高まりにより「歯磨き」が、ひそかに注目されている。1日3回ではなく、「1日5回の歯磨き」の時代が到来するかもしれない。

厚生省(現厚生労働省)と日本歯科医師会は1989年(平元)から「8020(はちまるにいまる)運動」を提唱している。80歳になっても自分の歯を20本残して、おいしくものを食べようとの願いが込められている。そこで、最も重要なのが歯垢(しこう)コントロールによる歯周病予防だ。

ホワイトニング機材を取り扱う「シャリオン」(本社・東京都港区)の角田哲平社長(34)は「日本人は歯に対する意識がとても低く、本来、歯の予防を定期的に行っていれば虫歯などにはほぼならない。しかし、近年は歯のケアに対しての問い合わせも増え、変わりつつある」と話した。歯が白くなることで性格も明るくなる効果がある。子供たちのサッカー教室などで歯磨き講座のボランティアを定期的に実施し、「1日5回の歯磨き」を推奨する。朝食後、昼食後、間食後、夕食後、就寝前に1回ずつ行い「食事と歯磨きはセット」と力説した。

歯磨きの回数を増やすだけでなく「正しい歯の磨き方」も重要だ。「バス法」と呼ばれる磨き方が最適とされ、歯と歯ぐきの付け根に歯ブラシを45度の角度で当てて、左右に細かく振動させる。歯と歯ぐきの境目に入り込んだブラシの毛先が歯垢を取り、歯ぐきマッサージする。

都内の某歯科医院の女性医師は、最近の患者の変化をこう指摘する。「虫歯治療ではなく、検診を受ける20代の男性や女性が増え『笑顔に自信を持ちたい』『歯から美しく、かっこよくなりたい』など声がある。若者の健康志向の高まりも関係しているのかもしれない」と話した。

厚労省などによると、「8020運動」の達成率は、当初7%だったが、16年調査で51・2%に達した。増加の背景には、健康志向の高まりの他、歯磨き習慣の浸透や、キシリトール入りガムなどの登場で虫歯や歯周病が減ったことが考えられる。6月には「歯と口の健康週間」を迎える。ますます、高齢化が進む令和の新時代。健康を守るヒントは、歯磨きにあるのかもしれない。